1回目
OCEAN - John Butler - 2012 Studio Version - YouTube
オーストラリアで人気があるらしい、The John Butler Trioのギターボーカルのソロギター曲。
すっげえ。
ひげ。
まあ、曲、内容に関係ないのだけれど。
◇
幸薄だなーとおもう。ぼんやりと。
さちうす。
わかってるけど。
俺より不幸な人なんていっぱいいて、日本に生まれて親のすねかじりながらぬくぬく大学に行ったりさぼったりする俺は十分幸福な部類だってことは。
じっさい”さちうす”というより、ちょっとやそっとのことで「あーなんでいつもこうなるんだ……」「いつもおれだけ……」なんてひとり井戸の底に沈んでくマイナス思考が“さちうす”と感じさせてるだけだ。
でも。
幸福は相対値だ! なんて言うつもりもないけど、
海に向かって、バカヤロー!
なんて叫びたいときだってある。
けど、俺が住んでるの、埼玉で。
埼玉ね、どこ探しても、海ない。
だから、ネットの海へ向かって叫ぶことにしました。バカヤロー!
日々あった嫌なことを軸に、好きな曲とか観た映画をゲロ吐くみたいに、ぼちぼち。
◇
で、さっそく。
スマホ忘れた。バイト先に。
電車乗ってから気づいたので、時すでに遅し。クソ。
で、数年ぶりに公衆電話を使用する。
サイフに10円1枚と100円1枚。どちらをいれようか迷って、「ま、大は小をかねるし」と100円投入。
ガチャリ、と、いま思えば悲劇のゴング。
バイト先の先輩に、スマホを(バイト先の外に設置してある)ポストへ入れといて、と頼む。
話は5秒で終わり、受話器を置く。
と。
つり銭がでてこない。おや?
いぶかしんでいると、コイン投入口のすぐそばに
「100円はおつりがでません」
……ぶったまげた。ぶったまげたよ、じっさい。
たった5秒の会話で、100円。
節約するため、いっさい無駄話をせずストイックにぶっちぎったのに、
100円。
なにこれ。
新宿のキャッチバイトにどんな怪しい居酒屋へ連れて行かれても、さすがにおつりがでない店ってなかったよ。
地元一番のデリヘルだって、さすがにこんなぼったくらねえよ。
(5秒100円=1分1200円=70分84000円!)
呼んだことないけどさ。そんな勇気あるわけないけどさ。
しかもけっきょく、バイト先へ寄るのをすっかり忘れ、帰宅。
なにこれ。
でもけっこう、困らない。
思えばふだん、そんなにスマホでメールとかラインとか電話とかしないし、ネットで調べものしたり、時計代わりに使ってるくらいだし、あれ、おれ友達いないのかな?
ともかく、スマホがなくてもけっこう困らない。
むしろ、いつも漂ってるなんともいえない男臭によって最高にプレミアムな空間と化している自室へ、大阪のご婦人方が如くズカズカ飛来するメッセージを気にする必要がないぶん、悠々自適、ひとりをエンジョイできる。
いいじゃん。スマホレス生活、けっこういいじゃん。
なんてベッドの上でごろごろしてたら、気づいた。
朝、アラームセットしてる。
7時半から5分おき。曲はワーグナーの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』。
きいていただければわかるけれど、これ、けっこう壮大な曲で、この曲で目覚めると、なんだか朝から短小な俺も壮大な俺になった気分になる。
そんな曲が明日の朝、バイト先のポストから、バイブしつつ大音量で流れ出す。
閑静な住宅街いっぱいにポストから鳴り響く『ニュルンベルクのマイスタージンガー』×3。
もう、なんだ、
……寝よう。